東芝メモリはウエスタンデジタルが理想的な売却先なわけ

僕は、東芝は、ウエスタンデジタルに売却するべきだと思う。その理由を二点に絞って述べる。

一つ目は、ウエスタンデジタル側の理由。

おおよそ全てのストレージがソリッドステート化しようかという昨今、HDD専業ベンダは相当な危機感を持っているはず。ストレージ業界の再編で、HDDベンダはウエスタンデジタルとシーゲイトテクノロジーのほぼ2社に収斂された。それでも、いまSSDはHDDよりもはるかに容量の大きい72TBなんていうものも製品化され、モバイルからクラウドまで、ゼロスピンドル化の速度は恐ろしく速い。この流れは、フラッシュメモリが3D NANDを実現した頃から急加速。今では96層もの積層数で、多値化もTLCからQLCになり、1ダイで実に96GBもの容量を実現する。

もはやこの流れは止められず、HDDに未来がないことは明らか。ウエスタンデジタルにとっては、ここでフラッシュメモリの製造設備を持っておけば、シーゲイトテクノロジーに対して大きなアドバンテージを持ち、マイクロンテクノロジーに匹敵するようなシェアも夢ではなくなる。

ウエスタンデジタルにとっては、金額よりも何よりも、なんとしても東芝メモリを取得するしか生き延びる道はなく、必死どころの騒ぎではない。逆に言うと、彼らの製品ラインアップからすると、最も相乗効果の高い会社であることは明白で、他の半導体ベンダが東芝メモリに投資するというのとは全くわけが違う。

次に東芝側からの理由。

多くの人は、ドル箱のNANDを売るなんて東芝終わってる的な論調だけど、僕はそうは思わない。今がおそらく最も高く売れるタイミングで、これから東芝メモリの価値はどんどん下がっていく。

以前、プレーナ型NANDの時代、プロセスルールの微細化の限界に達したとき、容量の増加が一時期止まったことがあった。第二世代SSDの頃で、LSIコーポレーションによる買収前、SandForceが一世を風靡していた頃だった。蓄積電荷が限界で微細化できないでいた。

しかしその後、3D NANDの発明により飛躍的に容量の増加が加速、今ではQLC、積層数も含め、前述の通り1ダイ96GBの時代が来た。

ストレージというストレージはすべて3DNANDに置き変えられ、全ての需要が集中するドル箱・・・・

となってるのは今のうちだけ。微細化、積層数共にすでに限界に達し、3DNANDも間もなくコモディティ化する。容量の増加ペースが速かっただけに、コモディティ化するペースもDRAM以上に速い。

それに、3DNANDを越えるスペックを持つ、マイクロンテクノロジーの3D XPointも製品化された。かつて製品化が不可能と言われたオボニックスイッチを実用化したという。不揮発性メモリの主流が、フラッシュメモリからPCMメモリへ移行する日も近い。

それでも、最終製品を手がけるウエスタンデジタルにとっては、フラッシュメモリは今すぐ欲しいだろうし、価値も大きい。だけど、最終製品はOCZや自社ブランドくらいしか持たない東芝にとっては、コモディティ化した後の生産設備は過剰になり、売れない悪夢も容易に想像できる。

考えてみればいい。1ダイで実現できる容量が増えれば増えるほど、多くのデバイスへの搭載チップ数は減るわけで、これから爆発的に増えるIoT機器を考慮に入れても、おそらく伸び悩み・減少の傾向が始まるのは時間の問題。

東芝から見ても、ウエスタンデジタルから見ても、東芝メモリはウエスタンデジタルに売る以外の選択肢はない。

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